概要
中国は料理大国。地方それぞれの有名料理があり、ユーザーも地方の特色ある食品を好んで食べるようになっている。美味しい料理を味わってもらうだけでなく、地方出身者たちがそれぞれの故郷を連想させる食材や食品であることが重要となっている。
ECサイトで人気
©️淘宝 中国の大手IT企業、アリババが運営する電子商取引(EC)サイト、天猫超市(Tmall)が2023年6月に発表した「2023年の中国食品トレンドレポート」。食品のユーザー1,000人以上へのインタビューや購買データなどに基づき、今年上半期(1〜6月)の中国の食品の消費トレンドを分析した。
マイナーな地方食材も
今年の最新トレンドでは、多様化するミネラルウォーターや季節感のある食品の人気が高まったほか、マイナーな地方の特色ある食材の消費が大きく伸びたことが特徴だった。
特にECサイトでよく検索され、バズったのは、淄(シ)博バーベキュー。山東省淄博市は、ビールで有名な青島市にも近い中型都市で、よく屋台や路面店などで出されるバーベキューが有名だ。
羊肉やイカ、ニラ、ニンニクなどの野菜を炭火で焼き、クミンなどの調味料をつけて食べる。ECサイトでもバーベキューの調味料や食材が売られて人気となったのだ。
ECサイトのデータによると、2023年4〜5月の2カ月間の淄博バーベキューの検索量は、1〜2月に比べて32倍に増加した。「いいね」の数は1,500万を超えた。ECサイトで関連商品の購入が増加しただけでなく、山東省や淄博市への観光客誘致にもつながったという。
3億人の出稼ぎ労働者
ユーザーの消費を引き出したポイントは、「記憶を辿る食べ物」であったことだと、報告書は指摘している。
中国は農村部から都会の工場などで働く出稼ぎ労働者は2億8,000万人にも上る。彼らはそれぞれの故郷があり、「彼らが住んでいた通りや路地の奥深くに思い出が存在しており、ユーザーたちは食べ物を通して地元の生活の記憶を再構築している」と同報告書は分析する。
彼らがECサイトなどを通じて故郷や思い出のある場所の食材を買い求めていることが背景にあるとみられる。よく売れた地方食材としてはコメの龍江玉米、山西小米などがあった。
ユーザーが全国ではあまり知られていない地元の屋台料理や家庭料理を好む割合は、四川火鍋などの名物料理よりも20%高かったという。
あるユーザーは「私が揚げ串肉が好きな原因は、高校からの帰り道に小腹を空かしながら、おばあさんが道端の屋台で売っていたのをしょっちゅう食べていた故郷の思い出にある。その料理を再現できるなら、もっとお金を使ってもいい」と話した。
参考URL
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1770097774742330266&wfr=spider&for=pc
Top Image:小紅書